早苗と美代が暮らす部屋では、この二週間、起きている時間がまるで噛み合わなかった。
早苗の職場が繁忙期に入ってから、美代が家を出る頃に早苗はやっと寝入り、早苗が帰り着く頃には美代が眠っている。
起こさないように閉めたドアの音ばかりを、美代は覚えている。
買い物も洗濯も二週間ぶん溜まったまま、同じ家にいて、顔をまっすぐ見た記憶だけが薄い。
気にかかるのは、この忙しさがいつまで続くのかを、美代がまだ聞けずにいることだった。
眠っている顔からは何も読み取れない。
無理をしているのかどうかを確かめるには、起きている早苗と向き合って、声を聞く時間が要る。
この二週間、それがなかった。
金曜だけは、どちらの時間もいくらか空く。
すれ違いの続いた二週間の終わりに、ようやくその夜が来た。
今夜の帰りが何時になるのかは、聞いていない。
窓の外では雨が降っていて、部屋は静かだった。
美代は先に眠ってしまわないよう、明かりをつけたまま起きていた。

