美代は指を抜かないまま、早苗の隣に寝そべる。
抜こうとすると、まだひくついている入口が指を追いかけた。
「まだ足りないでしょ」
「知ってるくせに聞かないで」
わずかに腰を持ち上げてきた早苗に応えて、美代は一度指を抜き、入口に先を当て直してから、奥まで沈めた。
内側がうねって指を締めつけ、早苗が喉を反らす。
根元まで入ったところで、溢れたものが結合の縁から糸を引いて落ちる。
額に張りついた髪を払ってやりながら、耳元で名前を呼ぶ。
さなえ、と呼ぶたび、中がきゅうっと応えるのがおかしくて、愛おしかった。
二週間分の距離が、指の届くところでようやく埋まっていく気がした。
二度目は、一度目よりずっと長くかかって、ずっと静かだった。
声を噛み殺して、それでも穴は指を離さなかった。
指を抜いたあとも、早苗はしばらく美代の腕に額を押しつけたまま動かなかった。
抜けた指のあいだに糸が残り、太腿の内側がまだ湿っている。
汗が引いていく肌の上で、雨音だけが遠く続いている。
「……寝ちゃいそう」
「寝ちゃえば」
「やだ。せっかく起きてるのに」
美代は苦笑して、早苗の背中に手を回した。
汗の引きかけた肌は少しひんやりしていて、掌でゆっくり撫でるたび、早苗が猫みたいに身をよじる。
「目、閉じてるよ」「閉じてても起きてる」「屁理屈」「屁理屈でもいい」枕に半分顔を埋めたままの声が、だんだん甘く崩れていく。
雨音が、さっきより細くなっている。
美代は天井を見上げて、それから早苗の頭のてっぺんに唇を押しつけた。
「怒ってたわけじゃないからね」「なにが」「帰るコールの話」「怒ってたでしょ、ちょっと」「ちょっとだけ」認めると、早苗の肩が小さく震えた。
笑っているらしい。
「心配だったんだよ、こっちは。雨だし、終電だし、走ってるとか言うし」「うん」「転んだらどうすんの」「転ばないよ」「転ぶよ、あんな走り方する人は」言いながら、美代は自分の声がやけに湿っているのに気づいて、口を閉じた。
玄関で強張っていた首筋は、指で押してみるともうだいぶ柔らかくなっていた。

