「逃げますよ、そんなの……っ、ん、」
「ほら、声」
「ちが……っ」
がっちりとホールドされた脚は、もうどこへも動かない。
貴子は唇を寄せ、わざと音を立ててついばんだ。
くちゅ、と水の音が部屋に響いて、莉央が耳まで赤くする。
「やっ、音、やだ……」
「私が立ててるんじゃないよ。莉央が濡らしてるの」
「言わないで、ほんとに、むりっ」
「無理って言うわりに、ここ、ひくひくしてる」
舌が今度は襞の間をゆっくりと這い上がり、クリトリスの手前で止まる。
触れそうで触れない。
莉央の膝がびくんと跳ね、言葉にならない息が漏れた。
「……ん、ぅ、」
「どうしたの。やめてほしいい?」
「……っ」
「言ってごらん。やめる?」
莉央は答えなかった。
答えられなかった。
首を横に振ることさえできず、ただ指先がソファの布地を握りしめる。
貴子はその沈黙をたっぷり味わってから、意地悪く笑った。
「ホントは好きなくせに」
「……すきじゃ、ないっ」
「うそつき」
言い終えると同時に、舌先がようやく芯に触れた。
莉央の背が弓なりに反り、喉から高い声が押し出される。
今度はもう、焦らしはなかった。
唇で包み、舌で転がし、わざとゆっくり吸い上げる。
そのたびに莉央の腰が跳ねるのを、貴子は腕の力だけで押さえつけた。
「あ、あ……っ、貴子さん、それ、だめ……!」
「だめって、どっちのだめ?」
「わかんな……っ、わかんない、です……」
「素直になってきたね。かわいい」
抗うために突っ張っていた膝から、少しずつ力が抜けていくのがわかった。
閉じようとしていた脚が、いつのまにか自分から開いている。
莉央は片腕で顔を覆いながら、もう片方の手を、貴子の髪にそっと差し入れた。
押しのけるためではなく、縋るように。
「……貴子さん」
「うん」
「もう、いじわる、しないで」
「しないよ。莉央がちゃんと私のものだって認めるなら」
「……みとめ、ます」
「聞こえない」
「認めますっ、だから……っ」
貴子は笑いを含んだ息を吹きかけ、それから深く口づけた。
同時に指が一本、たっぷりと濡れた場所へ沈んでいく。
莉央が息を呑み、内側が締めつける。

