奈津子が自分から言った。
その声が少し掠れているのを聞いて、亮介の喉が鳴った。
二十年、何百回この声を聞いても、毎回ちゃんと興奮する。
「待たせた分、ちゃんと味わわせて」
亮介が奈津子の腰を抱えて向きを変え、流し台に背中を軽く預けさせた。
奈津子は脚を少し開き、亮介が正面に膝をつく。
下着を抜き取られて、膝の内側に唇が落ちる。
亮介は上まで一気に行かない。
内腿の、くすぐったさと快感の境目のあたりを、舌の平らなところで何度も往復させる。
奈津子の呼吸が浅くなって、吐く息の終わりが細く掠れはじめたところで、ようやく割れ目に舌を這わせた。
「あ、……っ、そこ」
いい反応が出た。
亮介はすぐには刺激を変えない。
奈津子が今の感覚を十分に感じ、もっと刺激を求める合図を滲ませるまでは、舌の角度も、圧も、速さもそのまま保つ。
奈津子が感じたぶんだけ強くしたくなるのを、ぐっとこらえる。
奈津子の方は、もう何も考えられなくなっていた。
同じところを同じ強さで舐められ続けると、感覚が一点に積もっていく。
逃げたいのに逃げられない。
流し台の縁を掴んだ手が震えて、膝が勝手に閉じようとして、亮介の肩に阻まれる。
「っ、だめ、それ、だめ……来る、来ちゃう」
声が途中で切れた。
息を吸い込んだまま吐けなくなって、腰の奥が一度ぎゅっと締まって、それから一気にほどけた。
奈津子の背中が反って、喉の奥から言葉にならない声が漏れる。
太腿が痙攣するように跳ねて、亮介の頭を挟み込んだ。
波が引いても、亮介は離れなかった。
収まるまで、唇で優しく押さえているだけ。
奈津子がようやく息を吐いて、ふ、と力を抜いたのを確かめてから、顔を上げる。
「……すごい顔してる」
「見ないでよ、もう」
言いながら、奈津子は亮介の肩に手を置いて、立ち上がるのを促した。
亮介は腰を抱き、奈津子をゆっくりと流し台の向き直させて、両手をつかせた。
自分のものを取り出し、後ろから太腿の間に差し込む。
まだ入れず、割れ目に沿わせて何度も前後に擦るだけ。
奈津子の呼吸がまた浅くなったところで、ようやく先端を押し当てた。

