歩美とは出会い系のアプリで知り合った。
メッセージはいつもそっけなくて、初めて会った日も、歩美はろくに目を合わせてくれなかった。
それでもやりとりは途切れず、気がつけば二人で過ごす時間のほうが当たり前になっている。
僕が適当につけた呼び名を歩美が笑って、そのまま定着してしまったものがいくつかあるくらいには、長く一緒にいる。
そっけないままの歩美しか知らなかった頃を思うと、今の距離は少し不思議でもある。
ただ、歩美は今でも、肝心なところで顔を見せてくれない。
照れると横を向くし、何か言いかけて、そのまま言葉を飲み込んでしまうこともある。
笑っているのに、目だけがこちらを避けている、ということもたまにある。
嫌なのか、ただ恥ずかしいだけなのか、僕にはまだうまく区別がつかない。
訊けばいいのだろうが、僕は訊かないままでいる。
答えを急かして横を向かれるより、歩美が自分から動くのを待っているほうが、僕には性に合っている。
待っている時間のほうが、たぶん僕は好きなのだ。
だから今も、僕は何も言わずに隣にいる。

