湯気でほんのり白くなった浴室に、水面の揺れる音だけが残っていた。
さっきまでベッドで散々乱れていた歩美は、今は僕の隣で肩まで湯に沈んで、ぼんやりと天井を見上げている。
髪をざっくり結い上げたうなじが濡れていて、そこだけ妙に無防備だ。
その歩美の視線が、ふっと浴槽の縁へ流れた。
そこには、ピンク色の小さな塊が転がっている。
防水のローター——僕が「お風呂ぐっつ」なんて適当な呼び方をしたら、歩美が笑って、それ以来その名前で通っているやつだ。
歩美は、それをじっと見た。
それから、ゆっくり僕のほうへ顔を向ける。
目が合う。
湯気で潤んだ目が、少しだけ丸くなっていた。
視線はもう逸れている。
見られるのが恥ずかしいくせに、縁のほうは気になっている。
「……まだ使うの」
責めるでもなく、拒むでもなく、ただ確かめるみたいな声だった。
「どうだろうね」
僕は手を伸ばして、その小さな塊を摘まみ上げた。
歩美の視線が指先を追いかけてくる。
追いかけてきた時点で、答えなんて出ている。
スイッチを入れると、低い振動音がした。
湯の中に沈めると、音はくぐもって、水を伝う細かな震えだけが残る。
僕はそれを、歩美の下腹部に、そっと当てた。
「……っ」
歩美の喉が小さく鳴って、肩が跳ね、湯面が波打つ。
すぐ横顔をそむけた。
見られたくないらしい。
強くは当てない。
触れているかいないかくらいの弱さで、下腹から恥骨の丸みを越えて、脚の付け根の柔らかいところへ滑らせる。
そこで止めて、押しつけもせず、ただ置いておく。
「や、……和也さん、そこ、だめ……さっき、いっぱいしたばっかり……」
「うん、知ってる」
知ってるから、やってる。
ついさっき、ベッドの上で歩美は背中を反らせて、声も出せずに震えて、最後には僕の腕の中でくたりとなった。
余韻が残っているのは、太ももに力が入っているのを見ればわかる。
「ん、……ふ、……っ、ぁ」
吸う音が短くて、吐く音のほうが長い。
閉じようとした膝が湯の中でもどかしそうに擦れ合って、また少し開く。
歩美は湯面の下に視線を落として、耳まで赤い。

