体は正直だ。
付け根の震えが腹まで伝わると、腰が小さく浮く。
浮かした直後に自分で気づいて、慌てて沈める。
「歩美、腰動いてるよ」
「う、動いてな……、っ、ぁ、……あ、」
言い切れないまま、語尾が跳ねた。
否定するつもりが、途中から甘い息に変わっている。
振動はこんなに弱いのに、体のほうが勝手に迎えにいく。
ゆらゆら揺れる腰が、僕の手のほうへ近づいてくる。
アプリで知り合ったころ、歩美はメッセージだとそっけなくて、会っても目を合わせてくれなかった。
それが今、指先ひとつで息を乱して、自分から腰を寄せてくる。
「……和也さん、ずるい」
「何が」
「自分は、涼しい顔して……」
湯を押しのけるようにして、歩美が横から腕を回してくる。
濡れた手のひらが僕の胸に届いた。
「……っ」
指先が、僕の乳首を爪の腹でゆっくりなぞる。
円を描いて、掠めて、また戻ってくる。
「歩美」
「和也さんだって、ここ、弱いくせに」
濡れた髪を揺らして、歩美が笑った。
さっきまで息も絶え絶えだったくせに、こういうときだけ得意げな顔をする。
その顔と、まだ潤んだ目のちぐはぐさに、僕のほうが先に崩れた。
手からローターが滑って、こつん、と浴槽の底に落ちる。
拾う気にもならなかった。
歩美が膝を立てて、こちらへ向き直る。
湯が大きく波打って、縁を越えて床へ流れる。
目は合わない。
肩に額を預ける寸前で一度躊躇って、それでも膝を僕の腰の両脇へ乗り上げた。
濡れた指が湯の下で肉棒を掴んで、硬くなった先を入口へ押し当てる。
当たった瞬間、歩美の肩がすくんだ。
見ないようにして、沈める。
熱い入口が先だけを浅く咥えた。
角度を合わせて——
そこから先は、一切のためらいがなかった。
腰が沈み、根元まで湯の中で埋まっていく。
「……あ、……ぁあ、……っ」
湯よりずっと熱い穴に包まれて、僕は歩美の腰を掴んだ。
額を肩に押しつけた歩美が細い息を吐くたび、奥がひくひくと脈打つ。
顔は隠したままなのに、腰が正確な位置で沈む。
「歩美……」
「言わないで、……今、しゃべったら、……っ」
最後まで聞けなかった。

