歩美が自分で動き出したからだ。
最初は湯の抵抗を確かめるみたいに、浅く、静か。
すぐにその律動は歩美自身の欲に引きずられて速くなる。
水面が跳ねて顎を叩く。
抑えきれなかった声が途切れ途切れに落ちる。
「ん、……っ、あ、……や、これ、……深い、……っ」
「だめ?」
歩美は首を振る。
髪がほどけて、濡れた一房が僕の首筋に貼りついた。
だめじゃない、と言いたいらしいのに、言葉にならない。
代わりに腰が大きくなる。
引き抜くたびに先っぽまで出かかって、落とすたびに根元まで飲みこむ。
落としたあと、小さく喉を鳴らして、自分の声にまた耳を赤くする。
肩に置かれた指に力がこもる。
背中を撫で上げると、びくんと跳ねて、穴の奥がきつく締めつけた。
「歩美…」名前を呼ぶと、喉が小さく鳴った。
頬に手を添えると、嫌々をするみたいに首を振って、それでもこちらを向く。
睫毛が濡れて束になって、目が赤い。
蕩けかけた顔を、自分でもわかっているらしい。
「……見ないで」
「無理だよ」
「や、……っ、だって、……わたし、今、すごい顔してる」
「うん、してる」
笑ってやると、拗ねたみたいに眉が寄って、腰を強く落とされた。
先っぽから根元まで一気に突き当たる。
仕返しのつもりが、自分のほうが高い息を漏らした。
僕は下から迎えるように腰を使った。
合わせるつもりが、歩美のリズムはもうばらばらで、浅いところで先っぽだけ擦るかと思えば、急に奥まで沈めたり…
「……歩美、激しくなってる…」
「し、……っ、知らない、……和也さんが、……っ、あ、」
首に腕を回して、歩美がしがみついてくる。
耳のそばで、湿った息とこらえきれない声が混ざる。
恥ずかしいのに、腰はもう自分で止められないようだ。
「……和也さんが、変なとこ、触るから」
だめと言いながら、また自分から動き出す。
今度は浅く抜かず、根元のあたりで腰を擦りつけて、奥を擦る。
膝が浴槽の底を探って、僕の腰にぴたりと重なった。
「かず、……っ、和也さ、……あ、ぁ、……っ、も、……」
声にならない音が壁に反響する。

