二十年目の夫は、私の弱いところを知っている

入ってきたとき、奈津子は思わず息を呑んだ。

一度達した後の身体は、どこもかしこも敏感になっていて、押し広げられる感覚だけで喉が鳴る。

「あ……っ、ん、……ふ、」

亮介はゆっくり奥まで入れて、そこで止めて、送り返す。

深さを一定に保って、同じリズムで、同じ場所を押し続ける。

正直、亮介自身はもう限界に近かった。

中が熱くて、絡みついてきて、動くたびに奥へ引き込まれる。

でも、ここで自分の気持ちよさを追いかけたら、奈津子の快感のペースが崩れてしまう。

「っ、そこ……そこ、気持ちい…」

「よかった、じゃ、そのまま」

「んっ、ん、……あ、あ、っ」

奈津子は、自分の身体の奥に何かが溜まっていくのを感じていた。

表面の鋭い快感じゃない。

もっと重たくて、腰の芯から広がるような、逃げ場のないやつ。

怖いのに、もっと欲しい。

亮介が軸になるリズムを崩さずにいてくれるから、安心して、そこに身体を預けられる。

「りょ、すけ……っ、来る、また」

「うん」

挿入してから最初の波が決壊した。

奈津子の内側がびくんと波打って、声にならない息が漏れる。

後ろから亮介の腕に手を回し、自分を引き寄せるように腰を押しつける。

亮介は止めなかった。

同じ深さ、同じリズムのまま、奥を押し続ける。

奈津子は絶頂が終わる前に、また同じ場所を何度も突かれて、腰が勝手に震えた。

「ま、待って、今、……っ、ぁ、無理、無理っ」

「大丈夫。力抜いて」

次の波は、さっきより深いところから来た。

その次はもう、どこで終わってどこで始まったのか分からなかった。

奈津子の首筋は汗で光って、涙が勝手に目尻を伝って、口は半分開いたまま閉じない。

喉から出るのは、意味のない、短い息ばかり。

それでも亮介は、軸になるペースと圧を崩さなかった。

両腕を突っ張って自分の重みを抑え、奈津子の浅い呼吸に合わせて、ほんの半拍だけ遅らせる。

速くしたい衝動は、奥歯で噛み殺した。

ここで流れを乱したら、積み上がったものが崩れてしまう。

「息、吐いて」

低く言われて、奈津子は言われるままに細く吐いた。

TL
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