二十年目の夫は、私の弱いところを知っている

すると、また同じ場所を突かれて、腰の芯がじんと痺れた。

「……っ、ん、ぅ……」

喉の奥が勝手に鳴って、指が亮介の腕を探して掴む。

その手を、亮介は片方だけほどいて指を絡めた。

「奈津子、ここ、好きだろ」

答えられなくて、奈津子は何度も頷いた。

頷くだけで、またひとつ小さな波が来て、下腹が勝手に震える。

大きい波の合間に、小さいのがいくつも挟まる。

もう数えられない。

亮介の腕が小刻みに強張っているのが、絡めた指から伝わってくる。

「奈津子」

名前を呼ばれて、奈津子は悟った。

この人、まだいってない。

二十年目の夫が、汗を滴らせながら自分を見ている。

そのことに、胸の奥が熱くなった。

「……出して…」

その言葉で、亮介の中の何かが外れた。

ここまで保ってきたペースを、はじめて崩す。

奥まで深く、強く、重ねるように。

奈津子の腰が亮介の腕の中で跳ねて、今まででいちばん高い声が上がった。

「っあ、あ、それ、早く……っ!」

「っ、く……」

奈津子の内側が、これ以上ないほど強く締まる。

意識が白く飛んで、全身が震えて、指先まで痺れた。

その締めつけに引きずられるように、亮介も息を詰めて、奥で弾けた。

長く、何度も。

二人分の荒い呼吸だけが、しばらく流し台の前に残っていた。

「……生きてる?」

亮介が髪を撫でながら訊くので、奈津子は笑った。

笑ったら腹筋が痛かった。

「腰、立たないかも」

「このまま抱えて運ぼうか」

「やめて、四十五でぎっくりやるよ」

奈津子は振り返り、亮介の胸に額を預けたまま、ゆっくり息を吐いた。

心臓がまだ速い。

子どもを四人産んで、二十年一緒にいて、それでもこの人は自分を女として欲しがって、しかも最後まで自分を優先する。

よく「ママなの?」

「なんでそんなに細いの?」

と言われるけれど、たぶん秘訣はダイエットだけじゃない。

こうして自分を女として思い出せる時間が、表情まで少し軽くしてくれるのかもしれない。

満たされたまま、奈津子は目を閉じた。

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