余裕そうな顔が崩れるところを、見たかった

岡野が顔を上げた瞬間、高槻の左手が腰から下腹へ移り、岡野の先っぽを掌で包む。

「あ……っ、高槻さん、そこ……」

「止めるか」

高槻は手を動かさず、岡野の答えを待った。

「止めないで」

「ああ」

高槻の左手が再び動く。

穴へは入れず、さっき緩んだ窄まりの縁だけを指の背でなぞる。

岡野の膝が、また内側へ寄りかけた。

岡野も高槻の根元を上下させる。

空いている手で、先っぽと玉を交互に扱った。

濡れた音が、二人の腹のあいだで重なる。

「岡野」

「……何ですか」

「名前、呼べ」

「高槻さん」

高槻が岡野の先っぽを擦れば、岡野は高槻の玉を掌で押し返す。

強張れば一度待つ。

「無理……それ以上は、声が出る」

「出せって言っただろ」

「高槻さんが言うと、ずるい」

岡野の左手が高槻の肩を掴む。

その力に応えるように、高槻も岡野の腰を強く抱いた。

先っぽ同士が腹のあいだで擦れ、シャツが音を吸う。

根元をきつく扱うと、高槻の尻に力が入り、つま先が床を掻いた。

射精の手前で、どちらも手を止めない。

「岡野……」

デスクと椅子のあいだで、二人は離れないように抱き合った。

今度はどちらからともなく唇が触れた。

高槻の左手は岡野の根元へ残っている。

岡野は右手を高槻の玉へ置いたまま口づけた。

限界が近い。

たぶん、二人とも同じところまで来ている。

『――本日の業務は終了いたしました。消灯いたします』

天井のスピーカーから、無機質な声が落ちた。

続いて、廊下の遠くで靴音が鳴る。

「……まずい」

「今か」

「俺に言わないでくださいよ」

二人は同時に身体を離した。

岡野は先っぽを布の中へ戻し、裾を押し込む。

高槻は腹の濡れを拭い、ベルトを締めた。

焦って留め違えた岡野の右袖のボタンを、高槻が留め直す。

岡野は高槻の正面へ立ち、曲がったネクタイの結び目を両手で整えた。

「髪」

「高槻さんも」

高槻が岡野の前髪を手のひらで撫でつける。

岡野は高槻の襟を整えた。

靴音が入口で止まる。

懐中電灯の光がパーティションを横切り、足元まで伸びてから引いた。

岡野は椅子の横に置いていた鞄を取った。

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