半年前の飲み会の夜、酔った勢いで告白してきたのは光輝のほうだった。
翌朝には真っ赤な顔で「昨日のは」と言いかけ、そのまま黙り込んだ後輩だ。
それから半年、光輝は俊介をいまも「俊介さん」と呼び、敬語を崩さない。
俊介のほうは、その律儀さごと相手を引き寄せるようにして、ここまで来た。
半年という時間は、相手の癖をひと通り覚えるには十分だった。
気にかかるのは、言いかけて途切れる語尾だ。
肯定も否定も、光輝の口から出るときは最後まで言い切られないことがある。
肝心なところで言葉を飲み込み、黙ってしまう。
その沈黙の質は、あの朝からひとつも変わっていない。
俊介はそれを急かさない。
待っていればたいてい光輝のほうから口を開く、と知っている分だけ、待つ時間は俊介にとって悪くないものになった。
明日は二人とも休みで、出かける予定もない。
時計を気にしなくていいというだけで、夜の輪郭はずいぶん緩む。
急ぐ理由のどこにもない時間が、まだたっぷりと残されていた。
俊介は、その使い道について、特に何も決めていない。

