普段は言わない『好き』をたくさん言う金曜日

健太とは同じ会社で、席は隣だ。

同棲を始めて二年目になる。

平日の俺たちは社内では名字で呼び合って、それぞれの画面に向かっている。

家に帰れば、取り決めをしたわけでもないのに、だいたい同じ形に落ち着く。

とくに週の終わりだけは、こいつが少し違う顔をすることを、俺は二年ぶんの繰り返しで知っている。

気にかかるのは、健太の言葉の量が酒の量で変わることだ。

誕生日でも、記念日みたいな日でも、こいつは照れて「まあ、あれだよ、あれ」で済ませる。

そのくせ缶がいくつか空くころには、恥ずかしさのねじが全部ゆるんだみたいに、なんでもないことのように口にする。

どっちが本当かで迷ったことはない。

ただ、素面のときに黙っている分がどこにしまわれているのかは、いまだによくわからないままだ。

明日は休みで、時間を気にする理由はない。

着替えて、床に座り込んで、あとは健太の言い出すことに付き合うだけの夜になる。

二年目ともなれば、この夜の進み方はもうだいたい決まっている。

何かが起きるわけでもない、うちではありふれた週末の入口だ。

BL
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