普段は言わない『好き』をたくさん言う金曜日

その繰り返しに引きずられるみたいに、俺の腰の奥も限界に近づいた。

健太が俺の名前を呼びながら、きつく脚を絡めてくる。

手の中で脈が跳ねて、腹の上に熱が広がった。

ほとんど同じ瞬間に、俺も健太の手に溜めていたものを全部渡していた。

しばらく、どっちも動かなかった。

ラグの上で、汗と酒の匂いのなかで、二人ぶんの息が落ち着いていくのを聞いていた。

ティッシュの箱を引き寄せて適当に拭いていると、健太がまた俺の胸に頭を乗せてくる。

「陸」

「なんだ」

「好き」

「さっき何回も聞いた」

「足りない」

「足りないのか」

「うん。素面だと言えない…貯まってるから」

そう言って、健太は俺の胸に、鎖骨に、顎の下に、順番にちゅっとキスを落としていく。

手のひらは俺の腹をゆるく撫でていて、そのくせ本人はもう半分眠そうな目をしている。

「なあ、健太」

「んー」

「水飲むか」

「陸が飲ませて」

「甘えすぎだろ」

「今日はいい日だからいい」

何がいい日なんだと聞いても、健太は答えずに、俺の肋のあたりに指で丸を描いている。

くすぐったくて身をよじると、逃がさないみたいに腕を回してきた。

「会社だとさ、陸のこと名字で呼ぶじゃん」

「そりゃそうだろ」

「あれ、けっこうさびしい」

「初耳だな」

「言わないもん、しらふだと」

また同じ理屈だ。

でも、酔ったこいつの口から出てくる話は、たいてい本当のことだった。

俺は撫でていた手を止めて、前髪を横に流してやる。

健太は気持ちよさそうに目を細めて、俺の手のひらに額を預けてきた。

「陸の手、冷たい」

「お前が熱いだけだ」

「じゃあちょうどいい」

「そうやってすぐ丸めこむよな」

「陸がそう言わせてるんだろ」

「俺のせいか」

「うん、全部陸のせい」

笑いながら言って、健太は俺の胸の上で顎を乗せ直した。

そのまま脇腹を指先がゆっくり往復して、さっきの熱がまだ体の奥に残っているのを思い出させる。

会社の机の下では絶対にやらないことを、こいつは家だと平気でやる。

「明日休みだから、まだ寝ないでよ」

「起きてるよ」

「明日、覚えてないって言うんだろ」

「覚えてる。たぶん」

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