「重いって言ったのに、動くな」
「動くよ。陸も硬くなってる」
「お前が乗ってるからだよ」
「じゃあ俺のせいだ。責任とる」
言い合いながら、どっちが押し倒すかみたいな押し合いになった。
ふざけて肩を掴んで転がそうとしたら、健太が笑いながら抵抗して、二人でラグの上に倒れ込む。
テーブルの脚に缶が当たって、少しこぼれた気がしたが、どうでもよかった。
上になった健太が俺の手首を押さえつけて、勝ったみたいな顔をする。
「俺の勝ち」
「三十過ぎて何やってんだ、俺たち」
「楽しいからいいだろ」
そのまま唇が重なった。
今までの軽いのとは違って、深く、酒の味ごと押し込むようなキス。
健太の手が俺のTシャツをまくり上げて、腹から胸へ手のひらを滑らせる。
俺も負けずに、こいつのベルトに手をかけた。
「陸、待って、自分でやる」
「待たない」
「あ、ちょっ……」
もつれながら服を脱がせて、脱いで、床の上でまた抱き合った。
健太の肌は酒のせいでやたらに熱くて、触ると、そこからびくっと震えが返ってくる。
俺の手が下に届くと、健太はもう我慢できないみたいに膝を立てて、腰を浮かせた。
「そこ、もっと」
「せっかちだな」
「だって、ずっと触ってほしかった」
「会社にいるときから?」
「……うん」
正直すぎる返事に笑って、俺は健太のを握った手を動かした。
健太も俺のに手を伸ばしてきて、二人で握り合うような、押しつけ合うような格好になる。
互いの手と腰の動きが噛み合って、ぬるついた熱がぶつかるたび、健太が短く声を上げた。
「陸、陸」
「聞いてる」
「好き。ほんとに好き」
「うん」
「なんでそんな落ち着いてんの。ずるい」
「落ち着いてない」
実際、声が掠れていた。
健太が俺の首筋に顔を埋めて、吸いついたり舐めたりしながら、腰を押しつけてくる。
密着した腹の間で、二人分の熱が擦れる。
俺の手が動くのに合わせて、健太の呼吸がどんどん短くなっていった。
「無理、もう、それ無理」
「無理じゃないだろ」
「うるさ……あ、待って、っ……好き、好き、陸、好き」
言葉が壊れて、同じ音だけが繰り返される。

