発展場の奥の雑魚寝部屋には、安い布団が隙間なく並べて敷いてある。
ひと仕事終えた男らが転がって寝る部屋で、俺もさんざん遊んだあと、いちばん端に潜り込んで目を瞑っていた。
空調の低い音だけが鳴り、名前も知らん者同士の寝息が幾重にも重なっている。
ああいう場所の眠りは浅い。
その水面の上に、ずしりと重みが乗った。
隣の布団で寝ていた子が寝返りを打って、俺の太腿に頭を預けたのや。
引こうとすればそのぶん追いかけてきて、また同じところに収まる。
覗き込めば、俺より十は下に見える若い顔が、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
十分ほど我慢して足が痺れてきたので、脇の下に手を入れて上へ引っ張りあげると、頭は腕枕の位置にすぽんと落ちた。
体は重ねてへん。
それやのに、名前も知らん相手が全身の重みを預けきって眠っている。
この寝返りはほんまに無意識やったんやろか、と俺は暗い天井を見ながら考えた。

