太腿を枕にされてた恨みを晴らすみたいに、俺はそこを丁寧に撫でた。
湊のは先からもう濡れてた。
握って、根元から先へ、ゆっくり。
声を漏らさんようにしてるのが分かるから、余計にゆっくりやった。
「だめ、京介さん、それむり……」
「無理なんはこっちや。おまえ、さっきから可愛すぎるねん」
備え付けの小さいボトルを手探りで取って、指を濡らして後ろに触れた。
さんざん遊んだあとの体は柔らかくて、ほとんど抵抗なく指を吞んだ。
二本目を足して内側を擦ると、湊が俺の腕を掴んで、爪を立てた。
腕枕にしてた、そのおんなじ腕や。
入れるとき、湊は目を開けて俺を見てた。
ずっと見てた。
深く沈めるにつれてまぶたが震えて、それでも視線は外さん。
奥まで収めたところで、はあ、と長い息を吐いて、両腕を俺の首に回してくる。
抱き合うたら、寝てたときとおんなじ形に体が重なった。
腕枕のときの、あの、すぽん、と落ちる感じや。
「うごいて、ください」
ゆっくり揺すった。
速くはせんかった。
湊の内側の締めつけと、耳もとの息だけで充分やった。
腰を送るたびに湊が高い声を切って、俺の背中を引っ掻く。
角度を変えて奥を押すと、「あ、そこ、そこやめ、」と言いながら自分から迎えにくる。
そういう嘘が俺はほんまに好きやと思うた。
「京介さん、いく、いっ……っ」
湊の中が波みたいに締まって、腹のあいだで熱いのが弾けた。
俺もそのまま押し込んで、奥で息を詰めた。
目の裏が白くなって、しばらく何も考えられんかった。
抜いて、汗みずくのまま隣に転がったら、湊がまた寝返りを打った。
今度は太腿やのうて、最初から腕の上や。
慣れた顔で頭を乗せて、俺の胸に鼻先を寄せて、すぅ、と息を吐く。
「……朝まで、かします」
「腕のこと、貸すやなくて借りるやろ」
返事はもうなかった。
痺れてくる腕をそのままにして、俺は湊の髪を撫でた。
まだこの関係に名前はついてへん。
ついてへんけど、名前だけはもう知ってる。
それでええかと思いながら、俺も水面の下へ沈んでいった。

