「……っ」
指先が触れる直前で、止める。
「触ってほしい?」
「言わないです」
「言わないと触らない」
「……意地悪」
「知ってるだろ、今さら」
光輝が黙る。
湯のなかで、手だけが所在なく動いた。
俊介は待った。
待つのが好きだった。
飲み会の夜、酔った勢いで告白してきたくせに、翌朝は真っ赤な顔で「昨日のは」と言いかけて黙り込んだ後輩。
この沈黙の質は、あのときからずっと変わらない。
「……触って、ください」
「よく言えました」
指の腹で、乳首の周りだけをなぞる。
円を描いて、外側から、じわじわと。
中心には触れない。
光輝の呼吸が細かくなり、喉が鳴った。
「や、まわりばっかり」
「まわりが好きだろ」
「ちが……っ、あ」
たまらず身をよじる。
そこでようやく、俊介は指を立てて先端を軽く弾いた。
光輝の背が反り返って、後頭部が俊介の鎖骨にぶつかる。
「ん、っ、あ……俊介さ……」
「かわいい」
耳元で言いながら、もう一度舌を這わせる。
耳を舐められながら胸をいじられて、光輝はもう湯の熱さと自分の熱を区別できていないようだった。
太腿が擦り合わさり、水面が絶え間なく揺れる。
「もうやだ、これ」
「やめる?」
「……やめないで」
そこから先は、光輝のほうが早かった。
不意に体をひねって、俊介の膝の上で向き直る。
飛沫が上がって、二人の肩を濡らした。
光輝は何も言わなかった。
ただ、少し伏せた目のまま、湯の中で俊介のものに手を添えて、自分の腰を持ち上げた。
「……光輝」
返事はない。
唇を噛んで、ゆっくり、迎え入れていく。
さっきまで散々受け止めていた場所は熱く柔らかく、抵抗らしい抵抗もなく俊介を飲み込んだ。
奥まで沈み切ったところで、光輝がようやく息を吐いた。
「……ずるいですよ、あんなふうにされたら」
「自分から入れといて、ずるいはないだろ」
「俊介さんが悪いです」
「うん。
俺が悪い」
素直に認めてやると、光輝は少し笑って、俊介の首に腕を回した。
そして、待ってもいないのに動き始める。
湯を波立たせながら、浅く、深く、自分の気持ちのいい角度を探して腰を揺らす。

