あと五分、この腕の中で ―湯船で始まる、二度目の情事―

「……っ」

指先が触れる直前で、止める。

「触ってほしい?」

「言わないです」

「言わないと触らない」

「……意地悪」

「知ってるだろ、今さら」

光輝が黙る。

湯のなかで、手だけが所在なく動いた。

俊介は待った。

待つのが好きだった。

飲み会の夜、酔った勢いで告白してきたくせに、翌朝は真っ赤な顔で「昨日のは」と言いかけて黙り込んだ後輩。

この沈黙の質は、あのときからずっと変わらない。

「……触って、ください」

「よく言えました」

指の腹で、乳首の周りだけをなぞる。

円を描いて、外側から、じわじわと。

中心には触れない。

光輝の呼吸が細かくなり、喉が鳴った。

「や、まわりばっかり」

「まわりが好きだろ」

「ちが……っ、あ」

たまらず身をよじる。

そこでようやく、俊介は指を立てて先端を軽く弾いた。

光輝の背が反り返って、後頭部が俊介の鎖骨にぶつかる。

「ん、っ、あ……俊介さ……」

「かわいい」

耳元で言いながら、もう一度舌を這わせる。

耳を舐められながら胸をいじられて、光輝はもう湯の熱さと自分の熱を区別できていないようだった。

太腿が擦り合わさり、水面が絶え間なく揺れる。

「もうやだ、これ」

「やめる?」

「……やめないで」

そこから先は、光輝のほうが早かった。

不意に体をひねって、俊介の膝の上で向き直る。

飛沫が上がって、二人の肩を濡らした。

光輝は何も言わなかった。

ただ、少し伏せた目のまま、湯の中で俊介のものに手を添えて、自分の腰を持ち上げた。

「……光輝」

返事はない。

唇を噛んで、ゆっくり、迎え入れていく。

さっきまで散々受け止めていた場所は熱く柔らかく、抵抗らしい抵抗もなく俊介を飲み込んだ。

奥まで沈み切ったところで、光輝がようやく息を吐いた。

「……ずるいですよ、あんなふうにされたら」

「自分から入れといて、ずるいはないだろ」

「俊介さんが悪いです」

「うん。

俺が悪い」

素直に認めてやると、光輝は少し笑って、俊介の首に腕を回した。

そして、待ってもいないのに動き始める。

湯を波立たせながら、浅く、深く、自分の気持ちのいい角度を探して腰を揺らす。

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