理人は角度を変えて、もう一度深く重ねた。
透の唇が開き、息が混ざる。
「……髪、落ちてる」
「知ってる」
「掃除しなくていいのか」
「あとで」
透の首に腕が回る。
引き寄せられて、理人は椅子の肘掛けに膝を乗せた。
バランスを崩しかけた背中を、透の手が支える。
「危ないって」
「透さんが引っ張った」
「名前で呼ぶんだ、そういうときだけ」
理人は答えず、透の首筋に口をつけた。
ほくろの上を舌でなぞると、透の喉から短い音が漏れた。
抑えようとして、失敗した音だった。
「ちょ、それ……くすぐった……」
「動かないで」
「無理だって」
シャツのボタンを外す手が、鎖骨のあたりで止まる。
理人はそこに唇を落とし、少しだけ歯を立てた。
透の背が反った。
息が浅くなっている。
「理人くん」
「はい」
「灯り、消して」
理人は立ち上がって壁のスイッチを叩いた。
店内が一段暗くなり、外の街灯だけが鏡に反射した。
戻ってきた理人の手を、今度は透が掴んだ。
「座って」
「え」
「いいから」
透に押されて理人が椅子に座らされ、透がその膝の前に膝をついた。
理人は目を見開いた。
「やめてください」
「なんで」
「……汚れる」
「そういうとこ、ほんと真面目だよな」
透の手が理人のベルトを外し、ファスナーを下ろす。
内側から熱を持った先っぽが顔の前に出た。
理人は肘掛けを握った。
透の指が根元に触れた瞬間、息が詰まった。
声を出すまいとして唇を噛んだが、透が顔を上げて笑うので、逃げ場がない。
「声、出していいよ。誰もいない」
「……っ、」
透が先っぽを口に含んだ。
唾液で濡れた唇が輪を作り、舌が裏側をゆっくり這う。
くちゃ、という音が店内に小さく落ちた。
糸を引くほど濡れて、引き抜かれるたびに先っぽが光った。
理人の膝が震えた。
まともに息が吸えない。
抑えていた声が、途切れ途切れに喉から零れた。
「透さん、まっ……待って、それ以上は」
「だめ?」
「だめ、じゃなくて」
「じゃあ続ける」
理人の指が透の髪に潜り込んだ。
自分が切ったばかりの、まだ短い毛先。
握りしめると、透が小さく呻いた。
その振動が先っぽに伝わって、理人は天井を仰いだ。

