無口な美容師の、独占欲

「理人、……ちょっと、待って」

「待ちません」

「いま、お前……っ」

言いかけた語尾が震えて散った。

息を整えようとするたび、また崩された。

透の踵が理人の腿の裏を擦り、引き寄せる。

理人は透の首筋に額を押しつけ、汗の匂いを吸い込んだ。

奥が締まる。

理人の腰が止まった。

先っぽから熱いものが出て、中へ射精した。

白いものがつながり目から溢れて、太腿を伝った。

荒い息だけが残った。

透は理人の肩に額を預けたまま、しばらく動かなかった。

「……髪、また乱れた」

「直します」

「いいよ、もう寝るだけだし」

理人は透の前髪を指でかき上げた。

汗で張りついたそれを、丁寧に整える。

透が目を閉じて、されるままになっている。

「透」

呼び捨てにされて、透が笑った。

「やっと呼んだ」

「呼んだら、もう戻せない」

「戻さなくていいって。……理人」

名前を返されて、理人は黙った。

返事の代わりに、透の額にもう一度キスする。

床には切られた黒い髪が散ったままで、二人はしばらくそこを動かなかった。

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