「待って、彰、だめだ」修真の腕が首の後ろへ回り、俺の襟を掴んで引き寄せた。
「出す……うっっ、あぁぁっ、僕が先に、いく」
声が跳ねて内側がきつく震えた。
修真のものが腹に散り、穴はさらに狭くなって射精の途中まで締め上げてくる。
その震えを受け取りながら首筋に顔を埋め、数突きで追いついて、俺は抜けないまま奥へ射精した。
「あぁぁっ……中、出てる」
「うっっ……分かる」
しばらく、二人分の呼吸だけが楽屋に響いていた。
抜くと、白いものが窄まりから溢れて太腿を伝う。
俺が顔を上げると、修真はまだ息を整えきれていない顔で、目だけをそっと逸らした。
頬が上気したまま、口元がへの字に歪んでいる。
バツの悪そうな、言い訳を探しているような顔。
「修真、なんだよその顔は」
「……順番を守れなかった」
「順番?」
「先に崩れるのは、僕の役じゃないだろう」
順番を気にしている。
俺は言い返さなかった。
逸らしきれずに残った修真の目尻へ親指を当て、歪んだ口の端まで下ろす。
触れた唇から、息がまだ整いきれていなかった。
「笑うなよ」
「笑ってない」肩が揺れているのはばれていた。
「一つ訊いていいか」
彰が訊いてきた。
「まだ訊くのか」
「順番なら守ってる。さっきはお前が訊いた」
「……どうぞ」
「明日から、俺の顔をまっすぐ見られるか」
「……無理だと言ったら」
「言うな。困る。恋人役だぞ」
「じゃあ見る」修真は手首に力を込めた。
「見るよ。見て、彰が先に目を逸らすまで見る」
「勝負にするな」
「十年そうしてきた」
返す言葉がなかった。
修真もつられて笑った。
「明日、稽古だ」俺は言った。
「二幕の再会。動けないまま、名前を呼ぶところで距離を縮める。お前が二拍遅らせればいい」
「わかった。三拍は待たない」
修真が身を起こそうとして、諦めたように長椅子へ沈み直す。
俺はその肩に手を置いた。
「芝居のことだけど、二拍の頭が合わないと、あの場面は死ぬ。客に見えない合図がいる」
修真は少し考えて、俺の左手を取った。
手の甲に、親指の腹を二度、軽く落とす。
「これでどうだ。抱き寄せる前、どうせ手は触れてる」

