「出したの、俺じゃないよ」
裕一は顔を背けて、また唾を飲み込んだ。
耳の赤さは引かない。
繋がったまま、息だけが浅い。
「まだ入ってる。このまま、俺のも貰う?」
「……ん」
言葉にはならない。
でも膝は離れなかった。
智也はそれを聞いて、ゆっくり動き直した。
イった直後の中は敏感で、浅く擦るだけで裕一の肩が跳ねる。
急がなかった。
首筋に顔を埋めると、閉店後の厨房の匂いがまだ髪に残っている。
「店で肩ぶつけたときから、こうしたいと思ってた」
「……知らない、です」
「嘘つき。中、正直なくせに」
裕一は反論できずに、智也の背中へ顔を押しつけた。
吐息が肩にかかる。
智也の呼吸も、そこでようやく乱れた。
奥まで沈めて、一度、二度、裕一の名前を呼ぶ。
三度目は声にならなかった。
熱いものが中で広がる感触に、裕一の指が智也の背で強く閉じる。
「……っ、熱い」
「出した。中に」
裕一は答えなかった。
代わりに、繋がったまま、小さく喉を鳴らした。
肯定の音だと、智也はもう知っている。
抜くと、白いものが穴の縁から溢れて、シーツに落ちた。
智也はそれを指の腹で押さえて、また中へ戻す真似だけした。
裕一がびくりとして、腕で目を隠す。
「汚れる……」
「いいよ。どうせ、もう帰れない」
智也はティッシュを取って、裕一の腹と腿の内側を拭いた。
拭かれているあいだ、裕一は目を閉じたまま、息だけを返していた。
智也の指がまだ少し震えているのに、本人は気づいていない顔をしていた。
終わったあと、部屋はやたらと静かだった。
裕一は息を整えながら天井を見ていて、智也は横で煙草を探すふりをして、結局吸わなかった。
「……終電、もう」
言いかけた裕一を、智也は遮った。
「ない。とっくに」
「あ」
「タクシー呼ぶ?」
裕一は少し黙った。
それから、小さく首を振った。
智也はそれ以上何も言わなかった。
恋人だとも、好きだとも、言うつもりはない。
言えばきっと、この関係の形が変わってしまう。
ただ、裕一の濡れた前髪を指で払って、何でもないことみたいに言った。
「来週の火曜、俺シフト入ってないけど裕一は?」

